壇上で子供たちに伝える言葉は、スッと浮かんできた言葉にしました。
伝えたかったのは
「今の自分は、かつての自分に勝てているか?」
ということ。
子供たちには難しいテーマだったかもしれないけれど、自分の中で子供と自分と、そして小学校にいたいつかの自分に届ける言葉はこれで間違っていないと思います。
この一年間は、私にとってもっとも密度の濃い一年になりました。
きっと忘れることのない一年間だったはずです。
だから、私はこの一年を自分の礎の一つとして、私をまた組み立てていけると思います。
けれど、子供たちにとってみれば瞬くような間、泡のように希薄で、呼吸をするくらい当たり前の一年間であったはずです。
だから、すぐにでも子供たちの中で私は薄くなっていくでしょう。
私はそれでも構わないと思います。
いつか子供たちも、自分で礎を探し、自分を創っていくはずです。
その時、こんな掠れた一年を基盤にはできないでしょうから。
でも、まぁ。
いつか子供達が創っていくその子自身のその端くれに、おぼろげに私が浮かぶのならば、それで私は幸せだと思います。
だって。
いつか、どこかで笑ってくれる。
その理由が私なら、私がいつかの子供たちを笑わせることができたのなら、それは幸せではないですか。
いつか、どこか、彼方でも此方でも、明日でも遥か未来でも。
見守ってきた子供たち中の、そのほんの小さなかけらに、私が組み込まれていたら。
きっと私が「先生」でいた意味はあるのです。
そして。
先生でなかったかつての自分より、先生を終えた今の自分はきっと。
まぁ、なんにせよ。
先生、お疲れ様。